タオルウォーマー

COLUMN

2014年12月04日

タオルウォーマー

Written by ひめぶる コーディネーター LDK玉田敦士

暖房、乾燥、気分転換。一台何役も任せられる、お風呂生活のよき友、タオルウォーマー[PS HR(E)]

日本のタオル。パイルの数が多く、吸湿性に富むふかふかのバスタオル。そんなタオルがリーゾナブルで身近に手に入るようになってきましたね。その喜びをさらに生活に取り入れることに取り組んでいるのが、北海道に根差した企業、ピーエス工業さんです。アイテムは「タオルウォーマー」。工場は札幌から電車で30分の北広島というところにあります。
タオルウォーマー、はじめてこの名前を聞く人も多いと思います。これは厚手のバスタオルを乾かしながら、暖房もこなし、それでいて室内の美観を損なわず、いつも気分よく暮らせるという優れものの生活器具。オリジナルはヨーロッパの生活で育ってきたものです。少し前まで、日本の住宅は、まずは機能が満たされることが「いの一番」でした。たとえば家に風呂があること。台所は食事を作るところ。寝室は寝るところ。という具合です。でも、家族関係の自由度とともに、徐々に考え方も変化してきました。生活のシーンを単なる家事労働や明日の仕事への休息とだけ考えるのではなく、それぞれのシーンを最大限楽しみ、家族がお互いに興味を持つというイメージが出てきたのです。そんな流れの中で、お風呂とその前室(洗面と呼ばれている)は、単に体を洗い、歯を磨き、洗濯する場所と考えず、身体のことはここですべて考えられるような部屋、少しゆったり時間を過ごす空間へと変化していくのです。そのとき、タオルウォーマーがその空間を、快適な場所にしてくれるのです。風呂上りにスキンケアをする、ストレッチをする、ヨガを軽くやる。などなど。身体との会話を生活の大切なシーンとして考えると、この空間での多機能でローコストな暖房器が必要になってくるのです。そのように風呂場という「もの」を、豊かでゆったりできる「こと」に変換してくれるような商品の典型例として、タオルウォーマーがあります。
タオルウォーマーは電気で暖房する一種のオイルヒーターです。ごく自然な空気感はオイルヒーターならではのものです。電気代を節約するサーモスタットも細かく段階設定されていてシンプルなのに実に成功にできている逸品です。

温度のバリアフリー 高齢者との生活には、特にこれが大事。

タオルウォーマーは年寄りのいる家にこそ、お勧めしたい。
バリアフリー。すでに聞きなれた言葉です。床の段差を極力なくし、お年よりにやさしい空間づくりをしましょう。という意味です。でも家の温度差によって、環境の差があることが、行動範囲を狭めます。
たとえば、風呂場の前の脱衣所。裸になる部屋なのに、家で一番寒いし、すきま風がある。この状態では、ブルブルと来てしまい、お年寄りの身体には大変な負担になるでしょう。そのような温度差がある状態はけっしてバリアフリーとは言えない。ひめぶるはそのように考えます。
また、台所や洗濯室についてもそうです。水を使うところですし、朝早くから夜遅くまでの家事労働の場所なんですから。
そのような場所にこそ、PS社のタオルウォーマーは最適です。
まさに、空気のバリアフリーを実現してくれるのです。価格もお手頃、サイズによりますが、10万前後で設定でき、電気代も省エネです。

張りつめた真剣な空気の作業と、緑豊かな休憩スペース。
この工場で働いてみたい!

さて、タオルウォーマーの製造プロセスを製造部門リーダーの大久さんにご案内いただきました。まず、工場に入る前の渡り廊下が素晴らしく、しばし足を止めてしまいました。北海道の雄大な自然、外部の白樺林と室内のインナーグリーン。「これは暖房器の実験を兼ねています。植物が元気になるならば、人間にも快適なはずですから」との説明。冬になればあたりは白一色の世界。さぞかし美しい対比だろうと思いました。働く人の心も豊かになることでしょう。
工場の中は、真剣な緊張感に満たされていました。他社では製造していない、オンリーワンの製品なので、製造機械も自社で発案して作っているとのこと。「ものづくり」の原点を感じました。パイプを溶接し、サンダー掛けする工程は、熟練の職人さんの手作業です。金属加工ならではの情景に少し興奮を覚えます。さすがに暖房器の会社らしく、左右の壁面は自社の暖房ラジエターを設置してあります。快適環境。これも実験を兼ねているとのことです。

粉体塗装から焼き付け。有機溶剤を使わない哲学の徹底。
まるで七宝焼きのようです。

隣の棟に行くと、そこは塗装仕上げの工程だと説明されました。しかし、溶剤のにおいは全くしません。
それは、粉体塗装焼き付けという工法だからです。
金属は静電気を帯びているので、非常に細かい粒子の色粉を吸着します。製品がハンガーで移動しながら、焼き付けの窯に入っていきます。そこで全く均一に吸着した色粉が溶けて、均一な美しい塗装面になるのです。これが焼き付け塗装。説明を聞いていると、思わず七宝焼きを思い出しました。タオルウォーマーの表面は、そのようにガラス質の艶を帯びて輝いています。奥行きのある「白」。そのほか色もセレクトできるようになっています。中間色もなかなか素敵なものです。
工場の外に出ると、昔は羊を飼っていたという広々とした牧草地に、素敵なスタイリングの工場建屋が見れました。「ものづくり」そのものを本業と考えるピーエス社。従来の工場とはイメージの違う、「美しい工場」にこの会社の哲学を感じ取りました。