第10回イベントレポート

EVENTS

2017年01月06日

第10回イベントレポート

地場工務店グループ/ひめぶるが本業としている、住宅建築の世界でも建材の安全性は常々問題になります。それは、住宅の建材が、毎日過ごす家の室内で子供の体に触れるもの、あるいは子供が吸う空気環境の問題だからです。
人間の身体によくない成分(自然界に存在しないケミカル)は往々にして効率性、収益性、企業の論理など最優先する発想から生み出されてくることを、建築の世界でも痛感しています。
ですからひめぶるは、同じ思考の方向性で、子どもが毎日口にする食事について、建材と同様にその生産プロセスにたいして関心を払っていきたいと考えていました。
今回、皆様と継続してきましたひめぶるイベントのテーマとして、「食」の問題を設定できたことは、大きな喜びなのです。
メンバー一同初めての取り組みでもあり、非常にやりがいを感じて当日に臨みました。

まず第一に、行政の基準値や、謳い文句だけを鵜呑みにするのではなく、自分たち自身が、生活防衛のために、毎日身体に触れるものについて関心を持ってよく調べ実感する。これが建材の世界でひめぶるが学んできたことです。
そのうえで数値の関心だけにとどまらず、昔の人の手法や立ち居振る舞いの本来の豊かさについて実感していく。昔の人のやっていたことには、ちゃんと理由があるのです。それがむしろ豊かさにつながる。このスタンスの大切さは、いろんなことに共通すると考えています。食の話に還元するならば長期的に身体に影響するような害悪のあるものを摂取しないことはとても大切なことです。しかし、それだけにとどまらず、自然の摂理から学び、昔の人もずっと親しんできた、食のあり方に学ぶこと。その豊かさ、楽しさおいしさをプラス方向で実感すること。
今回、ひめぶるがイベントのテーマにしたことは、この二つのステップです。そのような、問題意識の素直な表現として、今回、オーガニックレストラン“ゆるん堂”さんにご指導をいただき、素晴らしい地元の宝とも言える若手農家「ただまき農園さん」と「右田農園さん」での体験イベントを企画しました。

ただまき農園さんの農産物サイクルの中心である合鴨農法のコメ作り

美しき里山
丁寧に耕作された右田農園さんの畑

朝の朝礼、全員集合いい天気だ!

左に右田さん奥さん、順にただまき農園のマキさん、タダシさん(市原さん夫妻)・・・だからタダマキ農園

少し酸っぱいような発酵臭のするえさの調合小屋にてやさしく説明してくれたマキさん。
鶏のエサにも愛をこめておられる様子がよくわかりました。

市販の配合飼料は使わない。
米ぬかやモミなど自家の田んぼでとれた材料を中心に、餌を構成する。循環という言葉の意味が浮かび上がる。

まずは、ただまき農園さんの飼料小屋を見学ほんとに純粋な鶏の飼料づくり。どの努力に脱帽

まずは、朝9:00にただまき農園さんご自宅の裏の駐車場に集合して、それぞれ挨拶を行いました。天気は快晴。ひめぶるメンバーは建築屋ですからみんな晴れ男晴れ男×5のパワーは今日も健在です。
そして全体人数を二つの班に分けて、交代で見学させてもらいます。このレポートはA班の随行記録ですので、まずはただまき農園さんの飼料小屋に出発!歩いて5分のところにあります。
鶏の餌小屋に到着して、一般の養鶏とただまき農園の養鶏の方針の違いをマキさんが説明してくれました。

1、餌は混じりけのない素材を使う。一般に使用される「配合飼料」は使わない。(一般の配合飼料は輸入のトウモロコシや小麦などが主成分で、ポストハーベストなどの薬剤の影響を免れない。)

2、ほんとの意味での平飼いを実践する。多段ケージは使わない。

3、合鴨農法のコメ作り(無農薬)、→その副産物のコメや米ぬか、もみ殻などを鶏や合鴨の飼料にする。というオーガニックな循環を考える。

そして実際のエサの配合を見学しました。小屋の中は糠漬けのおつけもののような、淡い発酵した匂い。でも嫌な感じはありません。コメやコメ糠、もみ殻以外にも、牡蠣殻や鰹節のがらなど自家の循環原料や、地域の再利用材料など、薬品で効率化したものは一切ありません。子供たちは、案外真剣な表情で説明を聞いていました。不思議と心に残った風景だったのだと思います。やさしいマキさんの努力の結晶。それが子供たちにはわかるのです。言葉を超えた世界なのかもしれません。

【補足】

平飼い(ひらがい)という育て方

「平飼い(ひらがい)」とは、平たい地面のうえで、放し飼いの状態で飼うことです。
鶏は本来、羽をきれいにするために砂浴びをし、1日に1万回以上地面をつつきます。卵を産むときは狭い巣にかくれます。止まり木と呼ばれる木の上で休みます。ただまき農園の鶏たちは、こういった鶏にとって「あたりまえ」の毎日を送っています。

一般的な飼育

一般的に市販されている卵の多くは、ケージ飼いと言われ、ウインドレスの鶏舎で小さなケージに何羽も詰め込まれた鶏が産みます。運動はさせないので病気にかかりやすく、抗生物質など薬剤を接種させます。
卵が転がるように傾いたケージで、砂浴びも地面をつつくこともできません。ストレスで羽をむしり合っている姿も日常的にみられます。鶏の自然の姿とはかけ離れた状況で卵を産み続けます。
こうしてコストパフォーマンスを追求した結果、昔の日本では高級品だった卵が普通に食べられるようになったのは事実です。

ただまき農園の平飼い鶏舎

一般的なケージ飼いの鶏舎

歩いて鶏の小屋へ移動。里山の秋を満喫しながら気持ちいい散策でした。この扇状地の根元の建物が目的地の鶏舎です。

鶏小屋前に元気に遊んでいるカモ君たちを見学。みんなで一斉に移動する様子に子供たちも興味津々。

鶏小屋を見学、まずは合鴨農法のカモ君たちに餌をやる。

飼料小屋を出て秋の里山を散策しながら、ただまき農園さんの鶏小屋へ行きました。小さな扇状地を山を見ながら付け根の方に登っていく一本道。実に気持ちいい。ほどなく鶏小屋に到着して、マキさんの説明を聞いた後、まずは、合鴨農法で活躍するカモ君たちの見学。
一羽が歩き出すと全員が同じ方向にグヮグヮと鳴きながらついていきます。これらのカモ君たちは、死出にコメ作りに協力した後、いわゆるカモ肉として出荷されるのです。後で送ってもらってカモ鍋にしましたが、ほんとにうまい。嫌な臭いも味も一切ない。是非お勧めします。

後日、ただまき農園の鴨肉で仕立てたカモ鍋。最後はそばで締める。

鴨肉は焼いてもうまい。癖がない、脂が美味。

そして鶏小屋見学。野性味あふれる鶏たちを抱っこする。

そして、鶏小屋に入ります。平飼いの鳥たちは年齢ごとに分けられて、自由に元気に動き回っています。鶏舎内は風通しも良く、光も適切に入ってきています。子供たちは、最初は怖気づいていましたが、徐々に慣れると野生に戻って、鳥たちを追い掛け回し始めました。コラコラ。
マキさんが、一人ずつ、ご要望にこたえて鶏を抱っこさせてくれました。かわいいね。
そのあと、とてもきれいな卵を箱につめる作業をお手伝いしました。まだあったかい卵。とてもきれいです。貴重な体験。残念ながら、すべて契約販売なので試食はかないませんでしたが、地元の卵ですから、是非web検索してください。

お昼ご飯はゆるん堂さんのココナッツカレーう~んおいしい!

ゆるん堂の山田さん今回山田さんのおかげでただまき農園さん、右田農園さんとお会いすることができました。感謝です。

スパイスがしっかり聞いた本格カレー
ちゃんと子供用も別にお作りいただきました。

ム~んおいしい。

次は右田農園さんの畑に芋ほりGO!

午後からは、少し離れた右田農園さんの畑にマイクロバスで移動しました。
到着すると、秋の光をいっぱいに浴びた薄緑のニンジン畑に目を奪われます。
右田さんは二代目。無農薬、有機肥料で心のこもった野菜作りをしている農家さんです。収穫期で忙しい中、ここで右田さんのご主人とお会いできました。

美しいニンジン畑心がすっきりする

畦道をイモ畑に行こう。

有機芋ほり二番勝負。

最初はサツマイモ、お次はサトイモ豊かであります。

精悍な表情の右田さん。すごく優しい温和な方です。

あらかじめ土を起こさず自分でスコップを突き立てるワイルドな芋ほり

頭より大きなサツマイモ。
それにしても腕の力強いよね。

みんなたくさん取れました。サツマイモ編

メインイベント サトイモ堀り これは初体験

サツマイモの芋ほりは小学校や幼稚園で体験済みの子供たちも、サトイモ堀は皆初めて。
まずは、説明を聞きました。
最初に茎を刈ってしまいます。

サトイモの説明をしてくださる右田さんご夫妻
子供たちもエンジン全開

これが親芋と右田さんの説明

見えているのは親芋の周りに実っている小芋

腰を入れて、スコップを大地に突き立てる。

大収穫!

サトイモ収穫万歳
右田さん、ありがとう。

イベント無事終了。二つのオーガニック農家のマルシェも大盛況

イベントの後、二つの農家のマルシェ。お母さんたちも興味津々。やはり子供に食べさせるものは、生産者の顔が見える
ことが一番ですね。しかもほんとに真摯に取り組んでおられる姿がよくわかったわけですから、是非、WEBで契約販売を検索してください。

ただまき農園さんの「かもかも米」
合鴨農法で育てた無農薬栽培のお米です。
そして、米粉。カタクリ粉の代わりにもなり、いろんな使い方ありそうですよ、安心の食材です。

右田農園さんのいろんなペースト。
ニンジンの葉のペースト実際いただきました。
これはバジルのような風味。おいしいです。

充実したイベント。
ただまき農園右田農園に感謝です。

いろんなことを実地で体験できて、学ばせていただいたイベントでした。毎日の地道な努力の賜物としての収穫ですが、そのプロセスまで、子供たちは実感できたと思います。また、お母さんたちも、こころを込めて農産物を生産してくれる農家さんの気持ちを肌で感じて、「食べる」ということの意味を再認識する機会になったと思います。是非、機会があれば、種まきのイベントも企画したいです。

最後にご協力いただいたゆるん堂さん
ただまき農園さん右田農園さんに厚く御礼申し上げます。